スイートポテト・フィロソフィア

「西園寺さんと俺を比べて、俺といる時間の方が貴重だってクロに気付いてほしかったからだよ。
西園寺さんがクロのことを気に入ったって話してるのを聞いたから、俺の気持ちも全部話した上で紹介した。
クロがどっちに応えても、どっちも選ばなくても、文句を言わないって条件で」



バイキングならではの、ガチャガチャとした食器の音が、妙に耳に残った。



「でも、クロがどんな性格の、どんな奴かって話はしなかった。卑怯かもしれないけど、その方が俺の勝つ確率が上がると思った。
急に横入りしてきた男にクロを取られるなんて、考えたくなかった。
そのくらい、クロにこだわってた」



小さく息を吐き出すと、景はそっと口を開いた。



「それを知って、お前は俺を気持ち悪いと思うか?」



   ***



「千優ちゃんはさ、好きな男性のタイプってあるの?」


「タイプ……ですか? どうなんでしょう?あんまり考えたことないです」


「そうなんだ」


「そういう話って苦手で、あんまり上手く答えられないんですよね。体験みたいな、事実を羅列するだけだったらできるんですけど」



そう答えたあたしを見て、西園寺さんは小さく笑った。


手元のコーヒーがホットな辺りが、妙に大人に見えるから不思議だ。
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