スイートポテト・フィロソフィア
「“事実の羅列”って面白いね。そこに、千優ちゃんの感情は混ざってないの?」
「混ざって……るんだと思ってます」
「それ、混ざってないみたいに聞こえるけど?」
「……上手く、表現できないだけです。
あたしこれでも、好きなものには執着しちゃうタイプなんですよ。だから、空回りして上手く話せないだけなんじゃないかなって」
苦笑いを浮かべながら答えると、西園寺さんはまた、小さく笑った。
今思えば、彼はこの時、あたしの気持ちが西園寺さんに傾いてもいないことに気付いていたのかもしれない。
小さい花柄のワンピースにパステルカラーのカーディガンを羽織ったあたしのことを、大人しい子だと思っていたのは、間違いないと信じてる。
でも、それ以外は自信がない。
「執着しちゃうタイプなんだ。意外だね。でもそれなら、少しずつ慣れていけるんじゃないかな」
綺麗に笑う西園寺さんは、やっぱり妙に、大人に見えた。
「俺にできることがあったら、何でも言ってね」
この時のこの話は、こんな優しい言葉で締めくくられたような気がする。
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