スイートポテト・フィロソフィア
大学芋にスイートポテト、サラダに天ぷら。
これだけ素敵なさつまいもパーティーを開いてくれる場所があるなんて、このお店を見つけてきた景は、本当に優秀だ。
変人だけど。
「クロってさ、俺の前だと何でも容赦ないよな」
「どういう意味?」
「いや、例えばその皿の中身。そんなに堂々と自分の欲望に正直な奴、俺は他に知らない」
欲望に正直。
そう言われると、あたしが良からぬことをしてるみたいで気分が悪い。
だけど、思わず目を細めたあたしなんて気にしていないみたいに、景はそのままスプーンを動かした。
違和感たっぷりのエビの天ぷらをどうやって食べるのかは、ものすごく気になるところだ。
「まぁ、嫌なことがあった時は好きなことやって忘れるのが一番だとは思うけどさ」
「あたし、何にも言ってないんだけど」
「今日は好きなだけ食べろよ。俺が奢るわけじゃないけど」
「言われなくても食べるし。自分で払うんだから」
そう言いながら、天ぷらの奥に置いた大学芋に手を伸ばす。
うん。 単純に甘いのもなかなかいい。
カリカリした外側のさつまいもと、たまに舌に当たる黒ゴマが、甘いタレとのバランスを絶妙に整えてくれてる辺りも、文句なしにいい。
「欲望に正直なのもいいけど、ほどほどにしろよ」
「だから、その言い方やめてよ」
「いや、いきなり『だから』なんて言われても意味わかんないから」