スイートポテト・フィロソフィア

「一人暮らしだから天ぷらとか大学芋とか、油をたくさん使う料理は避けたいの。でも、お惣菜は味付けが好みじゃないことも多いから、ここで食べるしかないの」


「まぁ、それには同意するけど。極端だろ。俺じゃなかったら引いてるぞ」



あ、スプーンでエビ切ってる。


エビ天カレーは意外にも結構綺麗に食べられていて、そんなところも景のすごいとこだよな、なんて、どうでもいいことを考えた自分に思わず笑った。



「引かれるってわかってるから景を誘うんでしょ。いつもそうじゃん」


「そうなんだけどさ。さつまいも自棄食いする原因にだって、そーゆーとこ見せてないとダメだったんじゃない?
今は良くても、そのうち来るだろ、限界。さつまいもと黒いとこ剥いだら、クロはクロじゃなくなる」


「……褒め言葉だって受け取っとくわ」


「褒めてはないけどな」


「だろうね」



励ましてるのか、励ましてないのか。


それはあたしにもわからない。


でも、大した理由も話さないでただ誘ったあたしにこの店を紹介してくれて、さらには欲望に正直にエビの天ぷらを大量摂取しようとする人間は景くらいだ。



「別に、俺には何も話さなくてもいいけどさ。何となく、クロのことならわかるし」


「何それ、エスパー?」


「いや、クロとは何か合うんだよな。
普通にクロ家にお邪魔したことあるし?二人でゲームとかカラオケとかもできるし?だから、何となくわかる気がする」
< 7 / 24 >

この作品をシェア

pagetop