スイートポテト・フィロソフィア
そういうものなんだろうか。
いや、あたしにはよくわからない。
景はウチに来たこともあるし、一緒に一晩ゲームすることだって、やったことはないけど2人で一晩カラオケに籠ることだってできるくらいの仲にはなってると思う。
だから、“何か合う”には同意する。
それでも、あたしには景の考えてることなんてわからないし、そんなエスパー働かない。
景がエスパーでも、気持ち悪いとは思わないけど。
「クロのいいところはさ、腹黒いくせに欲望に正直にもなれるとこなんだよ。むしろ、他の奴の前ではいろいろ隠そうとしてるだろ?
エビが好きじゃないとか、さつまいもが好きだとか。本当は酒も強いとか、時と場合によってはその辺の男子並みにご飯も食べるとか」
「酒は関係ないでしょ。ここ」
「強い割には飲むのは甘いヤツばっかだけどな。飲み放題でカシオレ14杯なんて、他の奴の前でできねぇだろ」
「だから景と一緒の時しかやらないように気を付けてるんだって」
「だから、その“気を付ける”が余計なの。気を付けなきゃ付き合える見込みない奴と交流を深めようとするの、バカみたいだろ」
そういうものなんだろうか。
淡々と食事と会話をこなす景を見ていると、その通りな気がしてきて何となく悔しい。
それでもあたしが景といるのは、きっと、どうしようもないくらいにさつまいもが好きだからだ。
そのせいで、“さつまいも”と2文字しか変わらない景に、それなりに頭が上がらないと思ってるからだ。
……あくまでも、たぶん。