スイートポテト・フィロソフィア
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最初に西園寺さんと会った日のあたしは、いろいろといつもと違った。
駅の名前に反応して、いつもよりも少し長めのスカートにカーディガンなんて落ち着いた格好をしていたところも、その1つだ。
それが、ますます悪かったのかもしれない。
「千優ちゃんって見た目通りの大人しい子なんだね」
格好のせいか、単純なイメージなのか、少ししてから西園寺さんはそう言った。
もちろんあたしは、そんな大人しい性格でもない。
だけど、もともと異性とのコミュニケーションがそこまで得意じゃないあたしは、そう言われた時に、黙ることしかできなかった。
普段無駄にストレートな発言をして、毒舌だの腹黒いだの言われるあたしには、丁度良かったのかもしれないけど、何とも窮屈だ。
「人見知りのせいです」だなんて正直な言い訳も、使用するべきじゃない気がした。
そんな相手と、月に1回あるかないかくらいの衝動的な食欲や全身から絞り出した気合を込めたバイキングになんて行けるはずがない。
ファーストフードだって敷居が高いくらいだ。
“大人しい”
そんな的外れなイメージをくらったせいで、長年あたしの中に住みついた腹黒い要素を出さないようにするのにも、短いスカートをはかないようにするのにも苦労するのが常だ。
気を遣い続けるのは、予想以上に体力と精神力を使うらしい。
あたしはここ最近、景を遊びに誘ってばかりいる気がする。
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