幸せのカケラ
その時、温かい指が、私の涙を拭った。

「なんか分んねぇけど、泣くなよ」

そう、微笑む翔。

「…ありがとう…」

記憶がなくなったのなら。

記憶が戻ることを祈ろう。

そして、また、私を好きになってもらえばいいんだ。

一から、スタートすればいいんだ。

「私の名前は、美乃里。よろしくね、翔」

「美乃里…。よろしくな」


たとえ、あなたから私の存在が消えても。


私は、あなたが好きだよ。


ずっとずっと、好きだから――……。


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