幸せのカケラ
「今日は、一旦家に帰るね。また、明日来るよ」
「気をつけて帰れよ。おやすみ、美乃里」

私たち3人は病室を出た。

「美乃里…」
「美乃里ちゃん、大丈夫…?」

麻衣子と大雅くんが心配そうにする。

「大丈夫…、きっと、戻るよ…記憶は。
それまで、私がずっと…翔を支える。
たとえ戻らなくても…、また、私を好きになってもらえば…いいだけ、だから…」


そう、思っているのに…


涙が、溢れる。


いくら、“大丈夫”と言っても。


いくら、前向きに考えても。


やっぱり、辛い――……。



「だい…じょ…ぅ…っ…ぁ…ぶ…」



大好きな人の記憶から、


私の存在だけが消えた。


私との思い出が、消えた。


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