幸せのカケラ
―――記念日前日――


いつも通り、翔と下校していた。
家の前まで来て、手を離そうとしたら…
ギュッと掴まれた。
「翔…?」

「明日、9時に駅前」
「え…?」
「9時に、駅前」
「ゎ、わかった」
「じゃ」
そう言って足早に帰っていった。

ぶっきらぼうな言い方…。
「プッ」
明日、記念日だから特別なデートだもんね。
笑っちゃダメなのに…嬉しくて、ニヤけるし…。
さっきの言い方を思い出すと、笑っちゃうよ…。

だけどね、

たまらなく、愛しいんだ。


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