幸せのカケラ
―――記念日。

あたしは早めに待ち合わせの駅に着いた。
…はずだったのに。

「早いよ…」
「お前だって」
「早く来て待ってたかったのになぁ…」
頬を膨らますと、両頬を引っ張ってきた。
「アホか。待ってるときにお前がナンパされたらどうすんだっつの」
「っ//バ、バカ…。されるわけないのに。翔だって、逆ナンされちゃうじゃん」
「あ~。俺は平気。言い寄られても“俺には大事な女がいるから”って断るから」
「っ/////」

翔……ズルイよ。

「ほら、行くぞ。美乃里姫、お手をどうぞ」
「プッ、どこの王子様よ…」

あたしはその優しい、大きな手を取った。

「どこ行くの?」
「着いてからのお楽しみだ」

そして、電車に揺られ、着いた場所は……


初デートのときにきた、水族館だった。

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