甘党狐とココア。
サァァ…と自然なふうにルクの体は人間のものに戻る。
ココは急いでルクに駆け寄った。
そして俯せに倒れるルクの頭を仰向けにして自分の膝にのせた。
ルクの目は閉じられ、体のあちこちに深い傷があって。
ココの視界はじわりと滲んだ。
私のせいで…!
「ごめんなさいっ…ごめんなさい…」
ココは泣きながら、ルクの頭を抱く。
銀色の髪に顔をうずめて。
どんどん溢れる涙は止まらなくて。
ココはルクを抱きしめたまま大きな声で泣き出した。
そんな時、ぴくりとルクが動く。
ココは抱きしめていたその腕を少し緩めてルクを見る。
うっすらと開かれた、黄金色の瞳。
ルクは薄く、弱々しく笑みを浮かべる。
「…泣かないで…。僕が勝手に、助けたんだから…」
それでも、涙は止まらなかった。
「でもっ…私の、私のせいで!こんな…っ」
ココはか細い声で言い、ルクの傷ついた体を見る。
その手が、ゆっくり動いて。
ココの頭に触れた。
そのまま安心させられるように優しく、撫でられて
ココはもう一度ルクの瞳を見た。
ルクは優しく、そしてせつなそうに瞳を細めて言う。
「もう、勝手に居なくならないで…」
そう言ってルクは目を閉じた。
疲れたきったように息を吐きだし、かすれ声で
「ダニエルを呼んできて」
それだけ言うと気を失ってしまった。