甘党狐とココア。
ココは静かにただ、ルクを見る。
窓から差し込む月の光に銀色の髪が白銀に輝く。
綺麗な顔には、無数の傷があって。
ココは悲しくなってルクの眠るベッドに自分の頭を寝かせた。
そのとき、ぴくりとルクの瞼が小さく動いた。
ココははっと顔をあげる。
薄く、ぼんやりと黄金色の瞳が開く。
月の光が反射して潤んだようにその瞳は輝いた。
「ルクっ!!」
ココは震える声で、愛おしいその名を呼ぶ。
ゆっくりと、ゆっくりとその瞳がこちらに向けられる。
「ココ…?」
ココは何度も頷いた。瞳から涙がこぼれ落ち、ルクの頬にぽたりと落ちる。
「ココ…何で泣いてるの?」
そう言ってルクは体を起こす。
一瞬、痛そうに顔を歪めたけれどすぐに何でもないように微笑む。
月をバックに光る銀色のシルエット。
ルクは優しく微笑みながら手を延ばす。
ココは抱き寄せられてルクの腕の中に居た。
あったかかくて安心できる大きな腕。
「ココ…泣かないで。僕は生きてるんだからさ」
そう言って優しく頭を撫でられる。
「…ごめんなさい…」
ココは謝りながらルクの腕に身をゆだねる。
ルクは強くココを抱き留めながら小さく、言った。
「僕が守ってあげるから…ココは何も心配しなくていい」
「…はい」
ココはそのまま、ルクのあたたかい腕の中で眠ってしまっていた。