甘党狐とココア。
ー翌朝。
「またイチャついてんのか、お前ら」
そんな一言で目が覚めた。
目の前には、ルクの顔。
状況を理解するのにちょっとかかった。
…はっ!
私、あのまま寝ちゃって…!?
ココは真っ赤になって慌ててルクの腕から離れようとする。
でもルクはニヤッと笑ってわざと強く抱きしめてきた。
「は、離してください!ダニエルが見てますよ!!」
ココがバタバタ暴れるとルクは意地悪そうに笑う。
「だーめ。逃げたかったら自分で逃げなよ?」
「…!」
ルクって、Sっ気があるんじゃ…!?
ココはそう思いながらもばたばたするけれど、結局逃げられなくてちょこんとルクの胸元におさまったまま静かになった。
「よしよし。」
ルクが頭を優しく撫でる。
ダニエルがはあっと大袈裟にため息をついた。
「ルク…お前、本性出てきたんじゃねぇの?」
ルクは何のこと?とクスクス笑う。
ココは静かに思う。
…本性って…?
そんなことも知らずにダニエルは話を続ける。
「お前、ココと遊ぶのもいいけど体調は大丈夫なのか?」
するとルクは片方の手でココを抱きしめたまま起き上がりもう片方を開いて見せる。
「何言ってんの?もうほとんど治ってるけど」
ダニエルはたいして驚かなかったけれどココはびっくりしてルクを見た。
「え…?もう治ったんですか…?」
昨日、あんなに血だらけで死んじゃうかと思ったのに。
ルクの体に今ある傷は、どうももう浅いらしい。
ルクはクスクス笑って言った。
「うん、治った。僕は妖怪だからね。
早く治療さえすれば、すぐ治るよ」
ーその後聞いた話では
早く治療さえすれば勝手に早く治っていくとのこと。
ココは安堵のため息を漏らす。ルクはそれを見て満足げに微笑み、立ち上がる。
ココも慌ててベッドから下りて立ち上がる。
「よし、店のほうに行こうか」
ルクはそう言うとカフェのほうに歩いて言った。
しばらくぽかんとしていたココだったけれど。
「早く行くぞ」
ダニエルにそう言われ、ココも二人についていった。