甘党狐とココア。
あれから数日。たわいもない会話が繰り広げられる。
「あの、ルクは普段カフェを経営してるだけなんですか?」
ココはカウンターの傍にいくなりルクにそう聞いた。
ルクはくるりと振り向き微笑むと言った。
「うん。そうだけど?」
そう言い、歩いて行ってしまうルクを見ながらココは一人で納得する。
…いつもお客さんがいるようには見えないけれど。
そこで、はっと思い出す。
あのお菓子!どこいったんだろう…
ココが、人間界に一度戻ったときに大量に買った、甘い食べ物たち。
ココはきょろきょろと辺りを探してまわる。
ダニエルが、不思議そうに青い瞳をこちらに向けた。
「……?何探してるんだ?」
ダニエルはひょこりとココの横までやってきて一緒に辺りを見回す。
「あの…私がここに運ばれたとき、何か持ってませんでした?」
ココが遠慮がちに聞くとダニエルはすぐ閃いたように目を輝かせた。
「紙袋か?何かカラフルなのがいっぱい入ってたな…」
ココはこくりと頷く。
「はい!それです!どこにありますか?」
ココがたずねるとダニエルは向こうに歩いていきしばらくすると紙袋を抱えてこっちに帰ってきた。
ダニエルの青い瞳が、ワクワクしたように輝く。
「これは何が入ってるんだ?」
顔はいつもの表情だけれどピコピコとしっぽが動き、ワクワクしているのがわかる。
「これはー…」
「何二人で仲良くしてるの?
僕もぜひまぜてもらいたいんだけど」
答えようとした時、真上から声がふってきた。
「ルク!」
そのこえは、いつの間にかこっちに来たルクのものだった。
薄く笑みを浮かべたままルクも興味深そうにそれらを見つめる。
「甘いもの?甘いニオイがする」
ココはこくりと頷いた。