甘党狐とココア。
「おじゃま…します?」
ココは小さく呟きながらカフェの扉をそうっと開いた。
茶色の木を基盤としたカントリー風のカフェには白以外の色があってココはほっとした。
カフェの中も、同じような雰囲気だった。
お客は、誰もいない。
店員さんすら見当たらない。
ココはきょろきょろして人が居ないか探した。
そっと中に入り、カウンターの席にちょこんと座る。
身長小さめのココには少し高い。
「誰も…いないの、かな」
ココが小さくつぶやいた時後ろから声がした。
「誰?…君、人間?」
男の人の声だ。ココはバッと振り向いた。
そこには銀色の髪をした美しい青年が立っていた。
片方は前髪にかくれ、見えないけれど見えているほうの瞳はそれは綺麗な黄金色だった。
黄金色の眼差しがココをじっと見つめる。
「あの…えっとっ…
ご、ごめんなさい!」
ココは立ち上がると急にペコッとお辞儀をした。
青年は黄金色の瞳をびっくりしたように少し見開いた。
「ここは人間の来るところじゃないよ?
どうやって入ってきたの?」
青年は優しげにそっと言った。
ココは顔をあげて、青年を見た。
吸い込まれそうなくらい綺麗な黄金色の瞳に魅入り、ココはしばらくぼぅっとしていたがハッとした。
「人間、ってどういう意味ですか?
あなたは人間じゃないの…?」
その質問に青年は困ったようにした。
「僕の姿を見て、皆怖がるんだ。
君もきっと怯える。」