甘党狐とココア。
ココはそう言ってからはっとした。
狐の瞳がびっくりしたように見開かれこっちを見ていたから。
「…えっと、変なこと言っちゃったですか?」
ココが慌ててそう言うと狐はふっと青年の姿に戻った。
しかしその頭には銀色の綺麗な三角形の耳がちょこんとあり、腰あたりからもふわふわした尻尾が覗いている。
「…君、僕が怖くないわけ?」
青年は黄金色の眼差しを少し細めてそう言った。
ココはふるふると首を振りそれを否定した。
だって、ホントに綺麗だと思ったんだもん。
すると青年はゆっくり近づいてきた。
「へぇ…僕、君が気に入ったよ
僕のことを怖がらない人間は初めて」
青年はココの手をそっととった。
ココはされるがままに手を握られてぽかんとする。
「僕の名前はルク。君は?」
ココよりも背が高い青年ー…ルクは屈んでココに顔を近づけた。
綺麗ととのったな顔が傍にきてココはドキドキした。
「…ココ、です」
小さなか細い声でココが言うとルクはにっこり笑った。