落とし物
しばらく走ると、男子が見えてきて声をかけた。



「あのっ」



しかし男子は振り返らない。




声が小さかったのかな?





目の前まで来たので、肩を叩いてみた。



「あのっ」



するとその男子が振り返ってきた。






私はびっくりした。




よく漫画などで出てくる、この世のものとは思えないほどのイケメンとはこの事を言うのだろう。




彼はかなりの美形で、身長も高く、思わず声が出なくなった。




「何?」




「へっ?」




あっ、しまったっ。

見とれていた。




「あっ、あの鍵を」



「はぁ、まさかまた俺のファンとかいうやつ?てゆうか俺の鍵持ってるとかあり得ないんだけど。いい加減に鬱陶しい」



……………………はぁ?





「はぁ?何なんですかっ?ファンとか意味分からないんですけどっ!!それに私はただあなたが鍵を落としたから拾って渡してあげようと思っただけなのにっ!!あり得ないのはあなたですよっ」





大声を出して怒った私に彼はかなり驚いている。




近所迷惑だけど仕方がない。

なんで私が鬱陶しいとか言われなきゃいけないの?



「別にあなたのファンでもなければ、あなたに興味もないっ、じゃ、鍵は渡したんでっ、さよならっ!!」




そう言って私は学校へ向かった。


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