とある神官の話



 もうすぐ冬だということもあってか、廊下はずいぶん冷える。
 暖房費は部屋に回し、廊下は削減しているのだ。おかげで「部屋が寒いんですけど!」「女子の体は冷えに弱いんです」云々の文句が減った気がする。




「神官の中に嘘をついている人がいるってことか?」




 壁に背を預けたハイネンに俺は言う。彼は不敵な笑みを浮かべ「嘘つきどころか敵ならいくらでもいるんですが」と言った。確かにな。
 神官やら枢機卿やらといっと、可笑しな話、好き嫌いがある。好き嫌いといったらあれだが、つまり、相性の良し悪しというべきか。
 時折衝突するのだが、まあ、日常茶飯事だろう。




「嘘つきは神官の始まりってか?ブランシェ枢機卿が胃痛を訴えていたが」

「彼は真面目ですから。私と違って」

「いいや。あんたは真面目だろう」

「おや、なぜ?」





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