とある神官の話
「この紙の後者に関しては、限られた人しか知りません」
「……何故伏せている?」
「ちゃんと見ましたか?」
指の間にしわしわな紙を挟み、俺に見せる。中身を俺は思い出していた。"はたして嘘つきは誰か?本当は嘘に、嘘は本当に"嘘つきは誰か?
ヤヒアが言った言葉。
眉をひそめる。ひっかかるのはやはり"嘘つき"だ。嘘つき。嘘つきねえ……「とにかく」
「気をつけて下さいよ」
「あんたも」
私は不死身ですよ?とおどけたハイネン。次の用事があるのでまた、とこちらに背を向けて歩いていくのを見送る。何だかな。ヤヒアといい何たらといい、くそ野郎が多すぎる。俺もその一人だが。
気をつけて、か。
頭を掻きむしったあと、俺は仕事が残っていることを思い出す。
再び戻った部屋に、何やら声がした。誰か来ているのかと思いながら足を進めると、見慣れた姿がそこにあった。
「ヒューズ?」