とある神官の話
* * *
「そりゃまた、大変だったねえ」
ミノアについてのことを話していた私に、苦笑したブエナ。机に突っ伏した私の頭を優しく撫でる手は、母親のようだった。
聖都に戻ってきた。報告書をたたき付けるように提出し、休暇申請を受理してもらったばかりなのだ。多分その時に申請紙を受け取った神官が「ご苦労様です」と哀れんだ目を向けたのは気のせいじゃないだろう。
聞いた話、ヨウカハイネンは変人で有名だそうだ。ランジットからも聞いていたが、確かにあれは変人だなと思う。私に向かってゼノンの恋人かと聞いてきたときこいつ殴ってやろうかと思ったのは秘密。
休暇をむしり取った私は、ミノアで買ったお土産を手にブエナの孤児院へ来ていた。お土産に喜んだ子供達の声がまだ聞こえるから、口元がほころぶ。
「シエナが居ない間も、エルドレイスさんが来てたんだよ」
「……」
「ありゃいい男だね。子供達ともよく遊んでくれるし。高位神官でイケメンで文句なしだ」