MoonPrincess
✥消毒液と金木犀
重たい瞼を開けるとまた1日が始まる…
病院独特の消毒液みたいな匂いとこの時期ならではの
金木犀のいい匂いが起きたばっかりの私の鼻をくすぐる。
私、灰田月姫(はいだつき)は今年で15歳の中学3年生。
去年の秋、つまり丁度1年前から私はこのT市総合病院に入院している。
病名ははっきり言って知らない。
お兄ちゃんが必死になって隠してるからね…
本人なんだから病気のことなんか聞けばすぐにわかるのに。
お兄ちゃんは天然なのか…
そのお兄ちゃんというのは、
灰田太陽(はいだたいよう)もうすぐ19歳の大学1年生。
顔は妹の私が言うのもなんだけどかなりのイケメン。
少し明るい茶色でサラサラの髪の毛にくるんとした二重の目、
スーッっと通った鼻筋、形のいい唇。
おまけに背も高く、運動神経もいい。
こんな完璧なお兄ちゃん、めったにいないよ。
でもお兄ちゃんは超がつくほどの天然。
この性格で何人の女の人を泣かせたことか…
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