~君という光~
「あった。」

あの時のことだ、きっと。
鈴音は用事があるからって言って屋上に来なかった。
だから、あたしは透真を待っていた。だけど、どんなけ待っても来なかった日のことだ。

「そん時、透真誰といたと思う?」

「誰って…。」

「私よ。」

「え?」

「私が屋上に行く透真を無理やり行かせないようにしたの。あんたの誕生日を利用して。」

「なんでそんなことした。」

「だって、あんたいつも透真といて幸せそうなんだもの。辛そうな顔を見たくて。」

「じゃあ、鈴音も透真といればいい。」

「もう、そばにはいられないわ。あんたのせいで。」

「あたしは関係ない。」

「そう。でも、私はあの時のあんたの悲しそうな顔が見れただけで満足だわ。」

そのセリフを口にした鈴音は悪魔のような笑みを浮かべた。
口は笑っているが目は笑っていない。
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