~君という光~
何も飲まず食わずで夜になった。

今、あたしがいる場所は家を出てすぐ向かったあのビルの屋上。

寒くなんかない。

手は凍るほど冷たくなっていて寒さなんか感じない。
顔は頬と鼻の先が真っ赤になっていると思うけど、逆に寒さを感じなかった。

つま先も同じように真っ赤になっていて、逆に寒くなかった。

もう、身体が凍っている感じだった。

これがあたしの求めていたこと。
こんな風につらい思いをすればいい。

どこか、心の底で冷たい笑みを浮かべているあたし。

屋上でぼーっとしていると、雪が降ってきた。

あの時と同じ、牡丹雪だった。
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