~君という光~
それから、二人は手をつないだまま何時間も過ぎ、気づいたら夜になっていた。

ここは病院かな…。布団もカーテンも壁もみんな白い。匂いも病院だということを示していた。

5日前、透真はあのビルの屋上で冷え切って意識がなくなっていたあたしを病院まで運んでくれたらしい。

医師は「本当なら死んでもおかしくない状況だった。藤田さんが生きているのは本当に奇跡だ。」と言っていたらしい。

なぜ生きているんだろう。
なぜ、あの時あのまま死ななかったんだろう。

悠が死ぬなって言ってるのかな…。
だから、あたしを助けたのかな…。
透真と同じ思いだったのかな、悠は…。

あたしに生きていてほしかったのかな…。

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