~君という光~
「じゃ、俺トイレ行ってくるわ。」

透真はそういってあたしの手と頭から手を離し、あたしのもとを離れていった。

トイレに行くだけだと思っても、不安になる。寂しくなる。

行かないでって言いたいけど、言えない。声が出ないから。

あたしが手を動かそうとしたとき、お母さんが

「きいな、本当に無事でよかった。
 あんたが眠っている間、透真君がずっときいなのそばにいたのよ。
 学校を休んででも…。」

嘘でしょ…?
あたしはそばにいないでってきつい言葉をかけたんだよ…。
なのに、なんでそんなにあたしのために…。

お母さんからそのことを聞いた瞬間、涙があふれ出てきた。

体はあまり動かない。声も出ない。だけど、涙だけは出てきた。

「透真君に感謝しなさい。」

父はその言葉だけを残してお母さんと一緒に病室を出た。
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