ただ、思って・・・ただ、愛して・・・
「修也・・・私・・・重いから・・・おろして・・・」
「・・・。」
「修也・・・」
返事してくれない・・・
意識が・・もうダメ・・・
私はそのまま意識を手放した。
――――――――・・・
なんだか・・・暖かい・・・なんだろこの感触。
誰かが手を握ってくれているみたいだ。
その手がすごく暖かい。修也だろうか・・・
なんで。修也には美花がいるじゃないか。
そんなに優しくしないで。そんなに優しくしたら、また修也のことが好きになってしまう。
私はそっと目を開いた。
「え・・・!?」
な、なんで石原が・・・?し、しかもこの手・・・えぇぇ!
「おいっ!石原起きろっ!」
「ん・・・おっ。」
「おじゃないぞ!なんで石原がいるんだ!修也は!」
「修也なんかもともといないよ。俺がここまで運んできてやったんだぞ。なのにおまえ、修也、修也しか言わないじゃんか。」
うわぁ・・・。なんて恥ずかしいことを。
ずっと修也かと思ってた。
「おまえ、そんなに修也のことが好きなのかよ。」
「好きで何が悪い。」
「いやぁ・・・悪くはないけど。」
しかも、なんでこいつは私の手を握ってくれてたんだ?
こいつ彼女いるはずだろ。こんなところ彼女に見られたら勘違いされる。
「石原、私はもういいからおまえは早く帰れ。彼女に勘違いされるだろ。」
「あ、あぁ。ごめんな。最後まで面倒見れなくて。」
「別に1人でも大丈夫だ。お前がいなくても。」
「ふっ、素直じゃないな、おまえ。じゃぁな。」
そういうと石原は保健室を出て行った。
石原が出ていくと一気に保健室が静まり返った。
時計の音だけが響く。さっきまで握ってくれていた石原の手のぬくもり。
全部一瞬にして消えてしまった。