ただ、思って・・・ただ、愛して・・・
・・・――
「あっ!」
気づけば寝てしまった。修也たちは・・・?
私は恐る恐るカーテンを開けた。だが、二人の姿はどこにもなかった。
帰ったのだろう。
あれから、けっこう時間が経ったみたいでもう夕方になっていた。
ガラガラ・・・――
「あ、二葉さん。気分は大丈夫?ずっと寝てたけど・・・」
保健の先生、木村先生が教室にはいってきた。
「あ、はい。もう大丈夫です。私帰りますね。」
「そう?お大事にね。」
私はカバンを取りに教室に戻った。
廊下を歩くと野球部の声がする。修也は野球部なのだ。
修也はここの高校で野球をするために入学したようなものだ。
修也のお兄ちゃんもいる。二人共すごく野球がうまい。
でも、私はまだ1度も修也が野球をしている姿を見たことがない。
見たいけど・・・ここからじゃ私の視力じゃ見えない。
みんな坊主だから誰が誰か見分けがつかない。私はそのまま教室に向かった。
まだ教室の鍵は空いていた。いろんな男子がまだ残っていた。
私は気にせずにカバンをとって出ていった。
修也以外の男子には興味がない。てか、嫌い。
関わりたくない。私って重症だろうか。
靴箱で靴に履き替えると、水道の近くで修也と野球部の男子がいた。
練習着・・・初めて見た。かっこよすぎる・・・。
少し、練習したせいか、汗ばんでいる修也。初めてみたな・・・
今まで全く見ていなかった。
「美琉久!」
いきなりの修也の声にびっくりする。すると修也は大きく手をふって、
「じゃぁな!」
と叫んで練習に戻ってしまった。反則だよ・・・その笑顔。