タイトルなしの物語
紫苑の言葉によって動き出した私達は、再びおしゃれな町並みを歩いている。
「朱莉がおばちゃんから頼まれたとこ」
紫苑がそう言い、私は記憶の糸を手繰り寄せる。
そういえばお母さんに「六○亭のチョコレートを買ってきてね」って頼まれてたっけ。
「紫苑って物覚え良いよね?」
私は素直にそう思ったんだけど…。
「勉強で使ってないからな」
太陽の言葉によって紫苑は落ち込んでしまった。
「ま…事実なんだけどね」
「太陽!」
もちろん太陽は私と瑞恵によって責められている。
それでも悪びれもしない太陽は…大物。
ある意味尊敬しちゃうよ。