タイトルなしの物語


紫苑の言葉によって動き出した私達は、再びおしゃれな町並みを歩いている。


「朱莉がおばちゃんから頼まれたとこ」


紫苑がそう言い、私は記憶の糸を手繰り寄せる。


そういえばお母さんに「六○亭のチョコレートを買ってきてね」って頼まれてたっけ。


「紫苑って物覚え良いよね?」


私は素直にそう思ったんだけど…。


「勉強で使ってないからな」


太陽の言葉によって紫苑は落ち込んでしまった。


「ま…事実なんだけどね」


「太陽!」


もちろん太陽は私と瑞恵によって責められている。


それでも悪びれもしない太陽は…大物。


ある意味尊敬しちゃうよ。


< 10 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop