タイトルなしの物語
「うん、私は太陽だったから…」
「そっか…太陽と紫苑もまだいる?」
「うん、まだ教室にいるよ?」
「会ってこうかな」
咲花はこう言って、立ち上がった。
「私ね…両親が死んじゃったの」
今のは咲花の言葉なんだけど…。
私には理解できなかった。
「去年…交通事故で突然。それで今はおばあちゃんと暮らしてるの」
うそでしょ…?
おじさんとおばさんが?
あんなに私に優しくしてくれていたのに…。
「朱莉…でも大丈夫。お父さんもお母さんもいつも一緒にいるから」
咲花はきれいに笑って言った。