タイトルなしの物語
scene12<2人の思い出…>
「ファミレスにでも寄ってく?」
俺は瑞恵の機嫌を探りながら聞いた。
「ん~…今日の晩ごはんはハンバーグだからいい!」
瑞恵は本当にハンバーグが好きだ。
「そっか…?」
「うん!…紫苑?」
瑞恵は急におとなしくなった。
「気、遣わないで大丈夫だよ?」
ばれてたんだ…。
「辛くないか?」
「ん…辛くないって言ったら嘘になるかな」
そう恥ずかしそうに笑った。
「でも…うらやましいな。幼馴染って」
実は瑞恵は施設で暮らしている。
だから、みんな友達というよりは家族なんだと思う。