タイトルなしの物語
俺が話し終えると、ちょうど施設の前だった。
「私ってそんな前から好かれてたの?」
瑞恵は少し恥ずかしそうに言った。
「瑞恵が中3からしか想ってくれてないって知った時は正直ショックだったんだからな」
確かそうだ。
瑞恵は中3の運動会で始めて俺を意識したって言ってた。
「え~そんなこと言われても…」
「ま、別にいいけど?」
俺は瑞恵のおでこに軽くキスをした。
「あー!瑞恵ちゃんの彼氏だー!」
瑞恵を慕っている10歳の女の子、真由(マユ)ちゃんが駆けてきた。
「こんにちは、真由ちゃん」
「こんにちは!えっと…」
真由ちゃんはなかなか俺の名前を覚えてくれない。
「紫苑くんでしょ?」
瑞恵は呆れたように言った。
真由ちゃんは、そっかと言って笑っている。