タイトルなしの物語
ピンポーン…
玄関のチャイムが鳴った。
「あら?こんな時間に誰かしら?」
お母さんが立とうとしたから、私は
「いいよ。私が出るから」
そう言って玄関のドアを開けた。
「…あれ?紫苑」
ドアの向こうに立っていたのは、意外にも紫苑だった。
「ちょっと…いい?」
紫苑の方から私の家に来ることはあまりないから少しびっくりした。
「あ、うん。寒いから入って」
私は紫苑を玄関に入れ、ドアの鍵を閉めた。
「部屋の方がいい?」
「うん」
紫苑がそう言ったのを聞いて私は再びキッチンに戻った。