タイトルなしの物語
「買わないの?」
私がそう言うと、
「買う訳ねぇだろ」
って不機嫌そうに答えた。
それにしても…誰かへのプレゼントだったのかな?
私の胸は少し…少しだけチクリと痛んだ。
「お待たせ!」
「おぅ!いいのあった?」
2人のもとに戻ると、相変わらずラブラブに手をつないで待っていた。
「うん!ちゃんと買ったよ!」
私は胸の痛みを忘れるように明るく言った。
でも後ろにいる太陽は全くそんなこと気にしてないみたい。
「…なんかあった?」
紫苑の手から離れた瑞恵は私の隣を歩きながらそんなことを言った。
ずっと一緒にいる太陽や紫苑よりも瑞恵の方が私の変化に気づくってどうなの?
まぁ、それが「女心」って物なのかなぁ…。