タイトルなしの物語
咲花が光野くんと話し始めたのを確認して、教室を出る。
『トイレ』って言ったけど…本当かな?
とりあえず教室に1番近いトイレを覗く。
「誰もいないし…」
元々3つあるスリッパの数は変わっていなくて、きれいにならんでいた。
「どこ行ったのかな?」
私は何気なく屋上に続く階段を上がった。
まさか、屋上にいる訳ないと思うんだけど…。
ガチャ…
ドアを開けて目に入って来たのは、うずくまっている瑞恵の姿。
昨日も泣いたって紫苑…言ってたな。
私はそう思って、なるべく音を立てないように近づいた。
隣に同じように座って、肩を抱き寄せた。