タイトルなしの物語
「あ、檜垣、ちょっと」
鞄から宿題セットを出そうとしていた私を先生は呼んだ。
どうしたのかな?
そう思いながら教室の前に行く。
「これ、個別の宿題だそうだ」
真木先生から受け取ったのは、大量の数学のプリント。
「これ…もしかしなくても…」
「矢野先生からだ」
やっぱり…。
「檜垣は気に入られてるよ?」
気に入られてる?どこが?
こんなにプリントもらっといて?
「数学以外は宿題だけで大丈夫だから、これはしっかりとしなさい」
うぅ…先生に言われると何も言えなくなっちゃう。