タイトルなしの物語
「知ってたなら教えてよ…」
「だって、太陽のことで他人から教えてもらうのって嫌じゃない?」
そう言われてみると…。
「まぁ、そうかも」
「で?どうしたの?」
そんなに聞きたいのか…。
「うん。太陽がね、キツネのストラップを手に取ってたの」
「ストラップ?」
「うん。私が声をかけたら戻したんだけどね」
そっか、私あの時胸が痛かったんだ。
「この辺がね、チクってしたの」
私は自分の左胸に両手を重ねて当てた。
「そっか…辛かったね?」
瑞恵に言われて初めて気づいた。
私、辛かったんだ。