タイトルなしの物語


「知ってたなら教えてよ…」


「だって、太陽のことで他人から教えてもらうのって嫌じゃない?」


そう言われてみると…。


「まぁ、そうかも」


「で?どうしたの?」


そんなに聞きたいのか…。


「うん。太陽がね、キツネのストラップを手に取ってたの」


「ストラップ?」


「うん。私が声をかけたら戻したんだけどね」


そっか、私あの時胸が痛かったんだ。


「この辺がね、チクってしたの」


私は自分の左胸に両手を重ねて当てた。


「そっか…辛かったね?」


瑞恵に言われて初めて気づいた。


私、辛かったんだ。


< 19 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop