タイトルなしの物語


「あ…瑞恵…。こいつ、体調悪いみたい。さっきから座り込んでて何も言わない」


私はそこまで聞いて、ポカリを持っていることを思い出した。


「紫苑、その子を木陰に連れてってあげて?」


「え…うん」


私は荷物のところに行って、ポカリを2本持って、2人のところに行った。


「はい、飲める?」


1本は冷たいからその子の首に、もう1本はその子の口に持っていって飲ませた。


「先生呼ばなきゃ…」


私達がこうしている間に、応援は始まっている。


たくさんいる先生も先輩も応援に夢中で、とてもじゃないけど呼べる感じじゃない。


時々心配そうに朱莉がこっちを見てるけど、私は首を横に振って朱莉が来ないようにした。


朱莉はきっとこういうの辛いから。


「俺、保健テント行ってくるからここにいて」


紫苑はそう言い終わらないうちに、走り出した。
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