タイトルなしの物語
「光野くん、ごめんね、待った?」
夕食を食べ終わり、瑞恵と別れてロビーに行くと、すでに光野くんがいた。
でも、先生は誰もいなかった。
私はさっきの瑞恵の顔が浮かんだけど、気にしないことにした。
光野くん、悪い人じゃないから…。
「ううん、俺も今来たとこだから」
光野くんはいつもの爽やかな笑顔で言った。
「でれで…話したいことって?」
私が話を切り出すと、何故か光野くんはうつむいてしまった。
「…光野くん?」
「ごめん…係の話なんて嘘なんだ」
うつむいたままそう言った。
嘘…?光野くんが?
「じゃあ…何の話なの?」
私は更に聞いた。