タイトルなしの物語
「おい!瑞恵!開けろ!」
お風呂から出て日記を書いていたら、ドアの向こう側から焦った太陽の声が聞こえた。
私は嫌な予感がして急いでドアを開けた。
「…どけ」
太陽は私を押しのけて部屋に入り、ベッドに朱莉を降ろした。
「…あか…り?」
朱莉はきっと過呼吸になってて、すごく苦しそう。
本当なら薬を飲むはずなのに…。
「ほら…ゆっくり息しろ?」
太陽が慣れた手つきで朱莉の背中をさすっている。
「瑞恵…紫苑呼べるか?」
太陽に言われて、私はやっと動いた。
「ルームキー持っていくから」
そう言って部屋を出た。