タイトルなしの物語
「彼女…いたでしょ?」
中学生になってから、太陽には常にってほど彼女がいた。
「そんなん、嘘に決まってるし」
「え?」
私は驚いて顔を上げた。
「俺に彼女でもできれば少しは朱莉が俺を意識するかと思ってたんだよ」
ほんのりと顔を赤くして言う太陽は私にとってすごく新鮮。
「…太陽っ」
でも、私の視界にはある人が映った。
「どうした?」
太陽はその人に背中を向けているから気づかない。
「う…後ろ」
私は呼吸がおかしくなるのを感じた。
太陽は振り向いてその人を確認した。
光野くんを…。