タイトルなしの物語
俺の後ろに光野を確認してから朱莉の様子がおかしくなった。
光野と佐藤(サトウ)は俺たちの様子に気づいた。
俺は、ポケットから紙袋を取り出せないでいる朱莉の代わりに俺のポケットから紙袋を取り出し、朱莉の鼻と口を覆った。
こんなに傷ついてるのかよ…。
俺は光野に対して怒りを覚えた。
でも、今は喧嘩をしている場合じゃない。
一刻も早く朱莉を横にできる場所に連れて行かないと。
朱莉の意識は朦朧としている。
「日野…大丈夫か?」
佐藤が俺に話しかけてきた。
「悪い。救護センターの場所…」
俺は光野を見ないように佐藤に聞いた。