タイトルなしの物語
「救護センター?」
佐藤はマップを見て、周りを見回した。
「ああ、あそこ」
佐藤が指差した場所は、ありがたいことにすぐ近くだった。
「サンキュ」
俺はお礼を言い、朱莉をおんぶして走った。
光野が心配そうにこっちを見た気がしたけど、どうでもいい。
朱莉を助けないと、俺は生きた心地がしない。
ただ、それだけだ。
朱莉にはいつも笑顔でいてほしい。
俺に太陽の意味を教えてくれたあのときのように…。
朱莉には太陽のように笑ってほしいんだ…。