タイトルなしの物語
「そうだよ!ほら、太陽も笑おう?楽しいよ?」
それでも俺にはよく分からなかった。
「太陽は笑わないと太陽じゃないよ?」
朱莉が急にそんなことを言うから、紫苑も不思議そうな顔をした。
「笑わなくても太陽は太陽だよ?」
俺は紫苑の意見に賛成した。
朱莉は少し困った顔をして、こう言った。
「お空にある太陽は、いつも輝いてるでしょ?いつも笑ってるからだと思うの」
「そうなの?」
俺が聞き返すと、朱莉は嬉しそうに頷いた。
「そう!だから、太陽も笑わないと太陽じゃなくなっちゃう」
朱莉は今度は少し悲しそうに言った。