タイトルなしの物語
「朱莉は多分自分を責めてる。絶対に光野のせいにしないようにしてる」
多分瑞恵の言うことは正しい。
「日野!檜垣は?」
真木先生が来た。
「中にいます。今は落ち着いて寝ています」
俺が報告すると、真木先生はそっかと言って中に入っていった。
「朱莉…帰宅させられるかな?」
瑞恵が不安げにつぶやいた。
「ま、それは朱莉と先生が決めることだから」
紫苑はいつものように穏やかな口調で瑞恵に言った。
朱莉が帰ったら…俺も帰りたい。
ずっと朱莉の側についていてあげたい。