タイトルなしの物語


「もういい?」


電話を持ったまま固まっている私を見て先生は心配そうに私の顔を覗き込んだ。


「あ…はい。ありがとうございました」


私はちゃんとお礼を言って先生に携帯電話を返した。


「さ、大丈夫なら外の空気を吸いに行きなさい」


先生はそう言って私の背中を押した。


「先生って男みたい…」


後ろで確かに太陽がそうつぶやいた。


先生は固まり、私は冷や汗をかく。


「日野…頼むから言うな。気にしてるんだから」


太陽は慌てて謝っている。


でも、私は先生の性格好きだけどなぁ…。


なんだかお父さんみたいに包み込んでくれる。


あ…やっぱり男性なのかな?


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