タイトルなしの物語
「最後に観覧車にでも乗るか?」
紫苑の言葉に時計を見ると、集合時間まであと1時間。
そういえば空も紫がかっている。
「あ!太陽!お昼食べたの?」
私はお腹空いてないから良いけど、太陽は…。
「は?バーカ!朱莉が寝てる間に食べたし!」
そっか…良かった。
って…あれ?
私、今、バカって言われたよね?
「ちょっと!太陽!バカって何よ!」
私は、観覧車の方向に慌てて走る太陽を追いかけた。
もちろん、瑞恵が目を真ん丸にしていることや、
「あの2人、昔はあんなだったんだ」
紫苑が瑞恵にこう言っていることなど知りもせずに…。