タイトルなしの物語
「う…寒い」
12月中旬を過ぎようとしている今、外はすごく寒い。
マフラーも手袋もしてるのに…。
「ほら」
太陽が手を差し出してきた。
「え?」
「握れよ。朱莉よりはあったかいから」
ぶっきらぼうな言い方だけど、優しさが感じられた。
私は左手の手袋を外し、太陽の右手と繋いだ。
「あったかい…」
太陽の手は本当にあったかい。
「どうして?手袋もしてないのに…」
「さぁな…」
太陽は少し照れたように言った。