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第1章 ふたり

不変の関係

地球温暖化、実感するなぁ…
もう秋だというのにそれを全く感じさせない今日の暑い暑い日差し。風こそ冷たいもの、のこの前買ったばかりのコートは必要なかったなぁ。
なんだか損した気分。

時計をみると…まだ10時53分。
早く来過ぎちゃったかな。


「…ぃちゃんっ…あーおーいーちゃんっ!!」


ふと顔をあげると可愛い可愛い桜が、手をぶんぶんとふりながらこっちへ向かって走ってきていた。
ちょっと明るめの髪にピンク色のチークとグロス。
ふわふわシフォンワンピースに今時のウエスタンブーツ。
黄色い銀杏の葉のじゅうたんの上を駆けるその姿は、今からデートの女の子みたい。

なんだか彼女を一人占めしたくなる彼氏の気持ちわかるかも。


「桜、もうっ走ってこなくても大丈夫だったのに」


「うぅんっ早く葵ちゃんに会いたくてっ」


エヘヘと笑う桜。くるくるの巻き髪が風で揺れる。


「そうだね、久しぶりだもんだね」


本当は私もこんな風に思った通りのことを口にしたい。けどそんなことしなくても、桜はいつも私のことを十分分かってくれる。
だから私は桜が大好き。


「じゃぁ葵ちゃん早速行こうよっ」
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