tea
日曜日はやっぱり空いてるなぁ…。
平日は学生が溢れかえるこの駅も、休日となると人もまばらで私はなんだか寂しい気持ちになった。

右隣でいちゃいちゃしているカップルがなんとなく目につく。

左隣では桜がしょんぼりしている。
相変わらず桜は百面相なんだから。

寂しんでいる桜の姿がなんだか嬉しくて微笑んじゃう私は、なんだか不謹慎かな。


「やっぱり行きたくないよぉ…葵ちゃんといたい…」


「桜、またすぐ会えるから。ねっ?」


今日二回目のこのセリフ。
自業自得だけどわがままだけどやっぱり葵ちゃんがいい…とかなんとかぶつぶつと言ってる桜は、本当に昔から変わらない。

時間ってやっぱりどんどん過ぎていくものだし、その過程で変化してくのは大切なことだと思う。

でもね、やっぱり変わらないことって必要だと思うんだ。

私と桜みたいに……

桜が10年以上も前から同じ仕草をすることや変わらない口癖があることを知ってるのは、もしかしたら私だけかもしれない。

それってやっぱり嬉しいことだよね。


気が付けば、桜の乗る方面のアナウンスが流れていた。

必要以上に黄色い線の内側に下がっちゃう私たち。
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