tea
目を涙で潤ませて必死に手をふりながら乗車する桜を見ると、思わず私も一緒に乗りたくなっちゃったよ…

ガタンガタンと大きな機械音をたてて発車する電車を、私は最後まで見送っていた。


「葵ちゃん…葵ちゃんっ」


ドアが閉まった後も、人目もはばからないような様子で私の名前を呼ぶ桜の姿がもうなんとも言えないぐらい愛しかった。


生まれてから…っていうのはオーバーかもしれないけど、本当にものごころついたときから桜のことを考えなかった日はない。

離れた今もそう。

朝起きては、
青空を見上げては、
月を眺めては、
眠りにつく前には、

いつも桜を思う。


そう、私の人生の大半は桜で埋めつくされているんだから。
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